住環境アドバイザー松岡在丸(まつおかさいまる)による住まいのカウンセリング
トップページ
家づくりに対して抱きやすい、失敗の種となる間違った理想像

家づくりにはたくさんの夢が詰まっていますよね?でも実際に家を建ててそこに住んでみると、最初に抱いていた理想が現実とは大きく離れていたということも多々あるようです。

そこで、ユーザーが抱きやすい、家づくりに対する間違った理想像を4つほど挙げてみます。


『マイホームで家族が幸せになれる』

残念ながら、家族の幸福は家に依存していないようです。むしろ、人間そのものに依存していて、お父さん、お母さん、子供たち、おじいちゃん、おばあちゃんの個々がどんな人なのかということが、家よりも重要な要素です。

言ってしまえば当たり前のことなんですが、実は家づくりを始めようとするとこの当たり前のことを忘れてしまいます。

せっかく楽しいはずの家づくりなのに、自分の理想ばかり主張し合って家族が不仲になってしまうというケースにも度々遭遇します。そして最終的には「家が完成すればきっとみんな仲良くなれる」とか「今の住まいは家族みんながストレスいっぱいなんだな」と結論してしまうんです。

それは大きな間違いです。住まいのストレスと思われるものは、実際には住まいに原因があるのではなく、そこに住んでいる人そのものが他の何らかのストレスを抱いていて、それを住まい環境にぶつけてしまっているんです。


『いいキッチンにすると料理が上手に』

これもよくあるパターンですね。

キッチンがどんなに素晴らしくても料理の腕は上がりません。腕がある人だから、いいキッチンを使いこなして、いっそうおいしい料理を作れるようになるんですね。

ここだけの話ですが、キッチンに中途半端なこだわりを持つ人に限って、そんなに料理をしていません。料理が好きでいろいろ作る人は、すでにキッチンに対する明確なビジョンがありますし、備わっている設備を上手に使いこなします。

こんなことを書くと女性の皆様から怒られるかもしれませんね(笑)。でも、家づくりを真剣に考えるのであれば、ここはしっかりと抑えていただきたいポイントなんです。

あまり背伸びしすぎた設備にお金をたくさんかけるよりも、もっと優先すべきところにしっかりとお金をかけましょう。たとえば、キッチン周りについてもあとからリフォームしやすいような構造にしておく、などです。

キッチンはとても難しいものです。15年以上もすれば、必ずと言っていいほど「リフォームしたい」と思うようになります。歳を取れば当然、高さも調節したいと思うようになります。ですから、「料理の腕が上がってから」リフォームしても、決して遅くはないんです。

料理の腕が上がることを期待するのであれば、むしろ、「楽しく料理ができるキッチンとはどういうものか」ということを考えるべきでしょう。


『子供の独立心を養うために個室を』

「ひとりに子供部屋を一部屋ずつ与えると、それぞれ独立心が育つ」と考えている親御さんたちが少なくありません。

これって恐ろしいことですよね。

現代社会の子供たちが直面している問題を考えると、独立心と子供部屋の関係性に疑問が生じてきます。

子供の独立心は、部屋を与えることで養われるわけではありません。そもそも独立心というのが何であるかを理解していなければ、部屋を与えることも差し控えるべきかもしれません。

責任感や自分で正しい決定を下していく能力が独立心に関係しています。個室を与えられても自由奔放に生きる『クセ』『習慣』がついてしまっているなら、子供部屋は無法地帯になりますよね。

個室がいいとか悪いとか、そういうことではありません。プライバシーのために個室は必要でしょう。でも、独立心は個室を与える以前の問題であることを理解していなければならないんです。


『新しい家は暖かい/涼しい』

夏は涼しく、冬は暖かい。そういう空間を実現したいと誰もが思うのですが、実際に新築された家でも、「冬が思ったより寒いんだよ」という方もたくさん見て来ました。

建築業界に携わっている人間から見れば、当たり前のことだったりします。室温に関係する種々の要素に対して適切なプランになっていないんです。

室内の温度は家の新しさや古さに依存しているんではありません。新しくても寒い家は寒い。古くても暖かい家は暖かい。

大切なのは、気温を左右するのは家のどの部分なのか、ということです。断熱性能や冷暖房効率、空気の流れ、そして日当たりなど、様々なポイントを抑えていなければなりません。

部屋が狭いと冷暖房効率が良い、と一般的に思われがちです。確かにそれは事実でしょう。しかし、小さな部屋をたくさん作ると、それだけ設備が必要になります。高気密・高断熱の部屋にするのであれば、部屋が小さい必要はありません。せっかくですから広い部屋を作るべきでしょう。

そのほうが、気温に依存せずにゆとりある空間ができるようになります。



このように、家づくりに対して間違った理想を抱いていると、プランニングに大きな支障をきたすことがあることをお分かりいただけると思います。ですから、優先順位が必要なんです。



トップページ≫