住環境アドバイザー松岡在丸(まつおかさいまる)による住まいのカウンセリング
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精神的な壁となりうる「階段」「廊下」に必要な6つの注意点
以下の2つ以上の項目で問題があるなら、
将来、大規模なリフォームが必要になるかもしれません。


プラン:廊下の床面積は、家の床面積全体の7%以下か
 
廊下というのは、人が通る以外にはほとんど使い道がないスペースです。それでも建物の面積に数えられますから、いわば「無駄に面積を取られている」という状態に匹敵します。

賢いプランニングは、廊下のような共有スペースは減らします。その分の面積を、収納や部屋、サニタリーなどに配分できるよう、効率的な配置を考えます。

ゼロにするのは不可能ですが、廊下をどれだけ減らすことができるかというのが、プランニングの腕の見せ所。単なる「通路」としての廊下は、無いほうが良いのです。


プラン:クランク型・くの字型の廊下になっているか
 
プランニングの段階で、限られたスペースに無理やり部屋や収納を配置した結果、廊下がクネクネ曲がってしまうプランに仕上がるというケースが少なくありません。そのような廊下を、家具や荷物を運んだり、万が一の時には松葉杖や車いすで通ったりするというところを想像してみてください。

向きを90度変えたり、180度方向転換したりしなければならない、というのは不便で仕方がありません。

家をリフォームしたり壊したりする理由の一つが「使いづらい家」というものです。つまり、将来、誰かに売りたいとか譲りたいとか考えていても、部屋に行くまでに余計な動作が必要となる家は、見学の際に指摘される点なのです。

今は健康で良いかもしれませんが、障害や限界が生じるときに通りにくい廊下というのは、リスクを背負っていることになるのです。


プラン:廊下で人と人が余裕を持ってすれ違うことができるか
 
日本の狭い廊下は、一度に一人しか通らないという考え方のもとに成り立っています。ところが、実は意外と誰かとすれ違うことが多いもの。また、引っ越しの際に大きな家具を入れることも難しいですよね。

廊下が狭いということは、そのスペースは「通路」としてしか使わないということになります。そして人が一人しか通れないそのような通路は、実際には子供部屋とLDKなどのパブリックスペースとを隔てる、心理的な「壁」になります。狭い廊下は「申し訳ないように通る」という感覚が生まれるからです。

一般的な廊下の幅は半間分(約90センチメートル)しかありませんが、1350センチメートルくらいの幅を設けることをお勧めいたします。廊下も一つの部屋として考えると、壁に家族の写真や絵を飾ったりすることで立派なパブリックスペースに成り得ますが、狭くて過ごしにくい廊下では、そのような写真を楽しむ余裕も生まれません。

そうそう、廊下に本棚を置くというのは、地震などの災害時に逃げ道や救助の道を落ちてきた本がふさいでしまうという危険性がありますので、止めましょう。


プラン:採光が少なく、電気を点けないと暗い廊下か
 
狭さと同時に暗さというのも、「心理的な壁」を作り出します。LDKと子供部屋との精神的な距離を広げてしまうのです。

加えて、朝起きて、薄暗い廊下を通らなければいけないという生活を何年も送ることを考えてみてください。廊下を明るくすることができれば、部屋から一歩出ることに対する感覚的な爽やかさを実感できるのではありませんか?

日本の家は個々の部屋にばかり太陽の光を取り入れることを考えていますが、実際には部屋で過ごす時間帯というのは夜。外光がそれほど必要になるわけではありません。朝の快適な太陽光を浴びるのは、ベッドルームではなくてパブリックスペースが基本です。

部屋からパブリックスペースに向かう途中の廊下が「暗い」というのは、実は大きな問題なんです。雰囲気的にも寒いですしね。


プラン:昇降時、電気を点けなくても十分明るくて爽やかな階段か
 
階段が暗いということは何を意味するのでしょうか。危ない、ということだけでしょうか?

階段は、実際には一階と二階を隔てる「心理的な壁」にほかなりません。上記の廊下と同様に、部屋と部屋を隔てるものなのです。それゆえに、マンションやアパートに住んでいた家族が二階建てに引っ越した後、親子のコミュニケーションが「減りやすく」なってしまうんです。

階段もパブリックスペース。そこを明るく爽やかな空間にすれば、一階から二階に行くことも、二階から一階に下りてくることも、無意識な抵抗感が無くなります。朝起きて爽やかな階段を下りて家族が集うLDKに行くことの快適さを想像してみてください。


プラン:階段の勾配は余裕を持った設計になっているか
 
一般的な階段は、13段になっています。一段が高くて、一歩が大きくなります。しかし一段の高さを小さくして、トータルで16段くらいに仕上げると、上るという行為に対する体力的な障壁を減らすことができます。「昇降しやすい階段」になるんです。

また、小さな子供のことを考えたり、年配者が昇降することを考えたり、万が一の時には怪我をした状態で動かなければいけないことなどを考えたりすると、段差が大きい階段を移動することはぜひとも避けたいと思うものです。

ほとんどの人は13段の階段しか経験していませんので「こんなものだ」と考えがちですが、16段の階段で生活し慣れると、これがどれだけ楽なものであるかということに気付きます。ですから、今までの常識で家づくりを考えようとするのは止めて、快適な暮らしを実現するためにもっと変えられるのだという意識を持ちましょう。